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狼に囚われた姫君の閨房録
第11章 八一八の政変
芹沢鴨の処罰は見送られた。大和屋が悪どい商売をしていたせいもあるが、八月一八日の政変が始まったからだ。

八月一八日の早朝。砲撃音で、私は朝の微睡を破られた。
私は起き上がり、格子窓から外を見た。朝陽が射す森林の奥に、火の手が上がっている。
(あれは……御所の方角)
何事? 新選組は出動するの?
そんなことを考えていたら、誰かが階段を駆け上がってきた。
「姫君!お目覚めですか?」
羽織を纏った山崎烝だった。夜着姿の私を見ると、その場に片膝をついた。
「会津より新選組に出動命令です!姫君をお一人にはしておけないとの、局長のお言葉です。どうぞ、大広間へ‼︎」
「いいんですか? 外へ出ても」
「尊王攘夷派が過激な動きをみせています。屯所が襲撃される恐れもあり、お早く!」
山崎烝は矢絣の単と鉢巻きを渡した。これを着て、銃後の守りにつけということか。
「すぐに参ります。お父上さまたちに、そうお伝えください」
「承知」
山崎烝は階段を風のように駆け下りていった。
私は矢絣を着ると、袖をたすき掛けにした。鉢巻きを額に締めて、肌身離さず持っている懐剣を胸元におさめた。

八木邸の広間に行くと、隊士たちはすでに鎖帷子を着込んで整列していた。
「きたか、すみれ」
床几に座った父が意気揚々と声を投げる。
「お前に留守居を命じる。俺たちがいない間、屯所を守ってくれ」
やっと活躍の場が来たのだ。父はいつになく、滾っているようだった。
「お心おきなくいらせられませ。ご存分のお働きを祈っております」
私はその場に膝を揃えて座り、頭を下げた。
「相馬と野村は連れて行くが、かわりの護衛役を置いていく。十番組の佐々木愛次郎だ」
歳三が末席の若者に顎をしゃくった。
細面の美男子。最近入隊したのだろう、見覚えがない。
「佐々木と申します。お嬢様のお身は自分が守りますゆえ、ご案じなきよう!」
深々と一礼する愛次郎。
「お手数ですが、よろしくお願いします」
私が言い終わるのを待たず、新選組は出陣していった。
私は玄関先で火打ち石を打って見送った。遠くで、また大砲を撃つ音がした。
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