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狼に囚われた姫君の閨房録
第11章 八一八の政変
新選組の出動後、私は壬生寺で薙刀を振った。薙刀が空気を切り裂く。
不審者が来たら、私が対処してみせる!
意気込むが、さすがに初夏だ。汗びっしょりになってしまった。
(少し、休憩しよう)
お堂の石段に座ると、私はうちわで顔をあおいだ。冷たいお水を愛次郎に頼もうかな?
近くで、砂利石を踏む音がした。
「このようなところで、何をしておいでか?」
顔をあげると、妖気を全身から漂わせる美青年がいた。
私は思わず、立ち上がった。
一瞬で鳥肌が立った。頭の中で、半鐘がけたたましく鳴る。
こいつは危険だと!
「そなた……」
「芹沢鴨配下の佐伯又三郎と申します。お見知り置きを」
「芹沢派の者なら、御所に行ったのではないのですか?」
「少々、忘れ物をしましてね」
佐伯はジリジリと私に近づいてくる。
「汗をかいた後はしっかり拭った方がよろしいかと」
「着物を代えてきます。失礼……」
立ち去ろうとした私の手首を佐伯は掴んだ。
ぶつけるように、佐伯は唇を押し付けてきた。舌を突き入れて絡めとる。
口内が犯される。私は佐伯を引き離そうとするが、びくともしない。
「ふっ……は……なせ……」
銃声が轟いている。こんなことをしている場合ではないのに。
「忘れ物とは、そなたのこと。こんな時でもなければ、思いを遂げられぬ」
私の矢絣の懐に佐伯が手を入れた時、
「貴様っ」
叫び声がした。声の主は走り寄ると、私と佐伯を引き剥がした。
「佐々木どの……」
愛次郎は私を背中にかばうと、刀の鯉口を切った。佐伯も同じように刀を抜いた。 
佐伯は目を細めて笑った。
「私闘は切腹だぞ」
「私闘ではない。お嬢様をお守りするのが、俺の役目だ」
両者の刀が交わった。互いに、相手の間合いに踏み込む。
どちらも、本気の殺意だ。
「なかなか、やるではないか。だが!」
佐伯は唇の端を歪めた。
呼吸ひとつ乱していない佐伯に比べ、佐々木の息づかいは速くて荒い。
「ぐっ!」
愛次郎の脇腹を、佐伯の刀が貫いた。愛次郎はその場に倒れ込んだ。
「佐々木どの‼︎」
私は慌てて駆け寄った。
「うぐぐ……!」
愛次郎は苦しそうに呻き、体をくの字に曲げて痙攣した。
傷は致命傷に至っていない。こんなに、苦しむはずはないのに……!
愛次郎は、口から泡を吹き出した。唇は紫色だ。血の気が失せて、顔が真っ白である。
痙攣を繰り返して、愛次郎は息絶えた。
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