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狼に囚われた姫君の閨房録
第11章 八一八の政変
「その方、それでも武士かっ」
叫びながら、薙刀を振るう私。一刀両断にするつもりだったのに、あっさりと佐伯にかわされてしまう。
「よくも……よくも……」
私はワナワナと震えていた。
深傷ではないのに絶命したことといい、唇が紫色になっていたことといい、間違いない!
佐伯は毒を刀に塗っていたのだ!!
「まさか、卑劣だとはいいはすまいな」
私の怒りの理由がわかったのだろう。佐伯は薄ら笑いを浮かべた。
「命のやり取りに、正々堂々もあるまい。勝てば良いのだ、勝てば」
私は薙刀の先端を佐伯に向ける。
「士道不覚悟!このすみれが粛清してくれるわ!!」
「お受けしよう。だが、そなたの腕で、この佐伯を仕留められるかな?」
「この薙刀で、そちを射止めようとは思っておらぬがな」
私は姿勢を崩すことなく、一歩を踏み出した。佐伯も、平青眼の構えで、私に対する。
「参る!」
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