この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
母親失格
第1章 母親失格
「次兄ちゃん。わたしとうとう離婚しちゃったぁ」




 日曜日の公園は、ちょっとしたテーマパーク並みに親子連れで賑わってる。
 どこに引っ越しても、それは全国共通らしい。
 電話の向こうで次兄ちゃんが『らしいね』と言った。



『お前のせいでこっちは大変だよ。母さんが取り乱してホント、俺の身にもなってくれよ』

「ごめんね」


 
 芝生の上で、義弟が長女と次女とボール遊びをしている。
 あの日の涙なんてなかったかのように、娘たちが笑ってる。
 次兄が言った。



『なんてウソだよ。まぁ良いんじゃない?息子より男を選んだお前を、他人は認めないだろうけど。でも息子のせいにして母親ヅラして生きるより、ずっとマシだよ』

「ありがとう」

『むしろ俺はお前に感謝してるよ。
 お前がずっと出来損ないでいてくれるから、俺の立場が守られるんだよ』

「あっそう」

『お前ってなんだかんだ、長兄ちゃんに1番似てるよ』

「どういうこと?」

『俺を愛してくれてるよな』

「は?」 

『長兄ちゃんもお前も、俺をいい息子にしてくれる』

「…何言ってんのか意味分かんない」




 長女と次女がこちらに向かって走ってくる。
 短い別れの挨拶を交わして、通話を終えた。
 カバンから水筒を取り出すと、ちょうど2人がそれを受け取り、喉を潤すと、また義弟のもとに駆けて行った。




「いいですねぇ、うちのダンナは公園にすら連れて行ってくれなくて」




 突然話し掛けられ、隣を向くと。
 ちょうど、ベンチの隣に、ヘトヘトといった様子の若い母親が、小さい子供を抱いて腰掛けたところだった。
 小さい子供はマグを両手でしっかり握り締め、必死でお茶を飲んでいた。




「子煩悩なパパさんで、うらやましいです」  




 若い母親の視線の先に、長女と次女と遊ぶ義弟の姿があった。
 私は、いえいえ、と謙遜して、そして言う。





「あの人は元々、私の主人の弟だったんですよ。
 兄嫁の私を、寝取ったような男です」





 若い母親がどんな表情をしたか、見なかった。
 私は荷物を持って立ち上がり、3人に手を振りながら、言った。




「きっと、あなたのほうがずっと、幸せですよ」














 おしまい


/20ページ
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白いエモアイコン:共感したエモアイコン:なごんだエモアイコン:怖かった
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ