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先生〜梨花に捧げるセレナーデ〜
第12章 告白
柔道部は鍵の開け閉めと師範にお茶を出す以外は何もしていなかった

練習終わりに師範とお茶を飲む

「高木さん、いつもありがとう」

「とんでもないです。こうして師範とお茶を飲んでいるだけで」

「それでも、柔道部員はとても喜んでいますよ」

「ありがとうございます。。。」柔道部では何もできていない。そもそもマネージャー自体いなくても成り立つし、実際成り立っていた。。



「高木さんは何か思いつめていませんか?」ある日師範に聞かれた

「あのですね、私好きな人がいまして」

「ほうほう。それは結構ですな」

「歳上の人で私なりに色々アプローチしてるんですけど、全く響いていないというか、相手にされていなくて。歳上の男性を射止めるにはどうしたらいいですかね?」師範に何を聞いてるんだろ?私。

「高木さん、勝負の勝ち負けに絶対はありません。絶対勝てる事も絶対負ける事もない。しかし強敵というのはいます。勝てそうにもない強い敵に勝つにはどうすればいいか分かりますか?」師範はいつもの穏やかな顔で仰る

「練習、、でしょうか?」

「そうですね。ではどのように?」

「…わかりません」

「強敵に勝つ為にはまず相手を知る必要があります。敵を知り、そして己を見つめる。ガムシャラに違った方向へ向かって努力しても勝ち目はない。しかし作戦立てて熟考してその上で稽古を重ねればいつかは勝ち目が出てきます」

「相手…」

「いやはや年が寄ると苦くていけませんな。年寄りの戯言とお流しなされ」

「師範、ありがとうございました」

何が分かったのか分からない。でも師範が寄り添って下さっているという慈愛をひしひしと感じた一時だった

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