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あなたがそれを望むなら
第1章 目覚めると…
「――――っ!」

や、ヤバい…
ヤバいヤバいヤバいヤバい…、何だよこれ!
さっきから心臓が痛い。
うるさいぐらいにドキドキしてて、今にも胸が張り裂けそう。

「マ、マフラー…、今度返しに来るから…」
「いつでもいいですよ」
「そ、それじゃ、おやすみ!いろいろありがとう!」

松野さんの顔がまともに見れない。
松野さんから目を反らし逃げるようにその場を立ち去った。



酔いがまだ残ってるせいか頭が回らない。
とりあえず、松野さんの部屋のマンションだかハイツだかの階段を駆け降りた。




「―――はぁ、はぁ、はぁ」

勢いよく駆け降り路上に出たはいいものの、一気に階段を駆け降りたせいで気持ち悪い。
頭も痛いし、動悸も激しい。

いや、この動悸は走ったせいだけじゃない。

さっきの松野さんの姿が頭から離れない。
胸が高鳴ってうるさい。

「と、とりあえず、タクシーを…」

コートの胸ポケットに入ってるスマホを取り出しタクシー会社に電話をかけようとした。
スマホに表示されてる時刻はAM2:42。

うっわ、真夜中じゃねぇか。
タクシー、捕まるかな…。

真冬の真夜中の冷たい風が俺の体を冷やしていく。
それと同時に俺の鼻先に薫ってくる松野さんの香り。
恐らく、首に巻かれたマフラーから薫って来てるのだろう。

「――――」

…俺って変態かも知れない。
松野さんの香りを嗅いでると体が疼いてしまう。
さっきのエロい松野さんが残像のように残ってる。

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