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あなたがそれを望むなら
第1章 目覚めると…
まだ二日酔いが残る頭。
玄関のドアを開けると風がひんやりと冷たい。
空は真っ暗だが、マジで今何時だ?
とりあえず、帰る振りをしてどっかでタクシーを捕まえるか。
しっかし、寒いなぁ…。
「佐伯さん」
「はい?」
ドアを開けた瞬間に松野さんが俺の名前を呼んだ。
振り返ると、俺の首もとがふわりと暖かくなった。
「?」
「よかったこれ、使って下さい」
俺の首に巻かれたのは、毛糸で出来たベージュのマフラーだった。
コートを1枚羽織っただけで、俺の首もとが寒そうだということに松野さんは気づいていたのだ。
「あ、ありがとう…」
俺が礼を言うたびに満足そうにニコニコ頬笑む姿は、まるで子供みたいだ。
「このマフラーも元彼が置いていったやつ?」
「いえ、それは私のマフラーです」
「えっ!?」
よく見ると、このマフラーには見覚えがある。
それは昨夜の二次会で松野さんが付けていたマフラーだった。
「そ、そんな大事なもの…」
「いいえ。佐伯さんこそ、昨夜からずっと寒そうだなぁと思っていたんです」
昨日はたまたま会社にマフラーを忘れてそのまま新年会に参加しちまったんだよなぁ。
移動中もずっと首もとが寒かったのを覚えてる。
「あの…、Tシャツとかマフラーとか、本当にいろいろありがとう…」
世話になりっぱなしだな、俺は。
これから会社で松野さんにどんな顔をすればいいんだか。
もう偉そうに先輩面出来ねぇなぁ。
「いいえ。私こそ楽しかったです」
「え?楽しかった?」
「佐伯さんで良かったです」
―――――――っ!?
いや、ちょっと待て…
最後の最後でその台詞はなしだろうっ!?
体の奥から込み上げて来る何かを必死で堪えた。
最後ぐらいは紳士的に立ち去ろうとしてるのにっ!
玄関のドアを開けると風がひんやりと冷たい。
空は真っ暗だが、マジで今何時だ?
とりあえず、帰る振りをしてどっかでタクシーを捕まえるか。
しっかし、寒いなぁ…。
「佐伯さん」
「はい?」
ドアを開けた瞬間に松野さんが俺の名前を呼んだ。
振り返ると、俺の首もとがふわりと暖かくなった。
「?」
「よかったこれ、使って下さい」
俺の首に巻かれたのは、毛糸で出来たベージュのマフラーだった。
コートを1枚羽織っただけで、俺の首もとが寒そうだということに松野さんは気づいていたのだ。
「あ、ありがとう…」
俺が礼を言うたびに満足そうにニコニコ頬笑む姿は、まるで子供みたいだ。
「このマフラーも元彼が置いていったやつ?」
「いえ、それは私のマフラーです」
「えっ!?」
よく見ると、このマフラーには見覚えがある。
それは昨夜の二次会で松野さんが付けていたマフラーだった。
「そ、そんな大事なもの…」
「いいえ。佐伯さんこそ、昨夜からずっと寒そうだなぁと思っていたんです」
昨日はたまたま会社にマフラーを忘れてそのまま新年会に参加しちまったんだよなぁ。
移動中もずっと首もとが寒かったのを覚えてる。
「あの…、Tシャツとかマフラーとか、本当にいろいろありがとう…」
世話になりっぱなしだな、俺は。
これから会社で松野さんにどんな顔をすればいいんだか。
もう偉そうに先輩面出来ねぇなぁ。
「いいえ。私こそ楽しかったです」
「え?楽しかった?」
「佐伯さんで良かったです」
―――――――っ!?
いや、ちょっと待て…
最後の最後でその台詞はなしだろうっ!?
体の奥から込み上げて来る何かを必死で堪えた。
最後ぐらいは紳士的に立ち去ろうとしてるのにっ!