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あなたがそれを望むなら
第2章 失意の中で
そんなもん、池尻に言われなくても俺は知ってる。
松野さんがどれだけ優しい人か知ってる。
照れ臭そうに笑う池尻に殺意を覚えてしまった。

「他の奴等に取られる前に先手打っとかねぇと」





他の奴等…?
あぁ、そうだ。

池尻が言うには、松野さんを狙ってる奴は他にもいるんだった。
敵は池尻だけじゃないって事か…。




「視察期間中は仕事に集中するけど、それが終わったら正式に告るかなぁ。今は社内中ピリピリしてるから。じゃあな」

そう言いながら池尻は俺の脇をすり抜けて階段を降りて行った。







視察期間が終わったら松野さんに告る?
池尻はかっこいいし仕事も出来る。
池尻みたいな男に告られたら嬉しくない女はいないだろう。

きっと松野さんだって喜ぶはずだ。
俺なんかが誘うより池尻に誘われた方がよっぽど――――。







チリチリと胸の奥が焦げる。
そして、俺の知らないところで火の手が上がる。









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