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あなたがそれを望むなら
第2章 失意の中で
ここにいては立ち聞きしてると思われてしまう。
早くここから立ち去らなくては。
頭ではわかってるのに足が固まって動けない。
足どころか、全身が凍ったように動かない。

二人の視線は俺を全く捉えようとしていない。
お互いしか見えてない恋人のような雰囲気。

こんな地獄のような光景、見たくなんてないのに…。



「それじゃ、またね。香美ちゃん」
「はい。お疲れ様です」



香美、ちゃん?
池尻、今、松野さんの事を下の名前で呼んでた?
何だよ、その距離感。
もうそんなに仲良くなってるってことか?
何の会話をしてたんだよ。
何をそんなに、まるで恋人みたいに話してるんだよ…。


松野さんはそのまま二階のフロアに消えて行き、池尻は俺のいる階段方面へと歩いて来た。

そして…



「あぁ、佐伯!今帰りか?」
「あ、あぁ…」

池尻の視線がやっと俺を捉えた。
俺は固まったまま池尻に返事をした。
が、心ここに非ず。
さっきまでの光景が頭から離れなくて呆然としている。

「あ、もしかして…、今の見られてたー?」

池尻がニヤニヤしながら俺に話しかけて来る。
池尻の態度に悪意はないとわかっていても、池尻に対するモヤモヤが消えない。

「あ、うん。すまん、つい…」
「何だよー、照れんじゃん!」



うるせー…
マジで鬱陶しい。
ふざけんな…っ!



「実はさー、今度美味しいイタリアンでもどうかなぁと思って誘ってたんだよ~」

…あぁ、やっぱりデートの誘いか。
あんなに嬉しそうに松野さんの事語ってたもんなぁ。

「前は近寄り難かったけど、喋ってみたら普通にいい子だよなぁ」
「へ、へぇ…」

やっべ…
俺、今…、池尻の顔すら見れなくなってる。


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