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幼稚園から始まって高校生になったなら。
第38章 神前式
「和樹、遅れるなよ?」

「遅れないよ、こんな日には・・・」

 神社の境内にある待合室から紋付き袴姿の父、大悟がスマートフォンで電話を掛けていた。

 その向こうで応対しているのは長男の和樹だ、既に身支度を調えられているその出で立ちは父親とは違い、いわゆる“スーツ姿の礼装スタイル”だ。

 西暦2020年6月の吉日、晴れの日ー。

 この日、一条家は朝から大わらわとなっていた。

 透の両親のみならず二人の兄である和樹と勝、そして父方母方の祖父母や親戚縁者までもが集まって来て朝からワイワイガヤガヤと騒いでいたのだ。

 と言っても場所は実家である一条家ではない、東京にある赤坂氷川神社の境内、そこの“一条家”と書かれている待合室においてだ。

 ちなみに隣の待合室には“宮下家”と書かれていて、そこには既に柚希の実家、宮下家の親戚縁者一同も揃い、あちらこちらで挨拶合戦が巻き起こっていた。

 その場にいる誰も彼もがみな、袴姿だったり高級そうな和服を着たり。

 要するに和のテイストで服装や身形が統一されていた。

 そうだ、今日は二人の、一条透と宮下柚希の門出の日なのだ、・・・正確には一条柚希の、だけれども。

 まだ高校生の二人はそれでも18歳になった日を境にして結婚し、役所に届け出を行った。

 で、その流れで今日の挙式となったのである、本当は式自体は生活が落ち着いてきて蓄えが出来てから、改めてするつもりであったけれども両家の両親が“金は出してやる”と言い、またプランナーの提示してくれた0円挙式などの、費用の掛からないプランを参考にして“自分達らしい安くてゴージャスで厳かな”神前式を挙げる事にしたのだ。
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