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幼稚園から始まって高校生になったなら。
第38章 神前式
 それが今日だった。

「柚希が、ついに透くんのモノになるのか・・・」

「お父さん」

「ついこの前までは、まだ赤ん坊だったのになぁ・・・」

「本当に、あっという間だったね・・・」

 角隠しをかぶり、白無垢に身を包んだ柚希の前で父である克典と母春香が感慨深そうにそう告げるがその目は心なしか涙ぐんでおり、時折鼻をズズッと啜る仕草が印象的だった、だって両親の泣いている場面なんて柚希は見た事が無かったのだから。

「柚希、綺麗だよ、実に素晴らしい・・・」

「お父さん・・・」

「本当によく育ってくれたよ、お前は自慢の娘だったんだけどなぁ・・・」

「まさかこんなに早く嫁いじゃうなんて思わなかったからねぇ~・・・」

 感極まっているのだろう、声まで震わせて娘に必死に言葉を掛ける克典と春香は普段の教育パパママでは無かった、娘の幸せを願い、また送り出す寂しさに涙を見せる、一介の人の親に他ならなかったのだ。

「透くんを、あんまり困らせるんじゃないぞ?ちゃんと幸せにしてもらえ」

「もー、当たり前じゃん。お父さんたら・・・」

「でもな、辛かったらいつでも帰っておいでな?」

「大丈夫だよ、透はそんな人じゃないから」

 と、自身も涙ぐみながらそこはキッパリと言い放つ柚希だったがやはり、両親にも夫の事をもっと信用して欲しいと思う辺り、彼女もいつの間にか妻としての心構えが出来はじめていると言ったところか。

 コンコン。

「はい」

「ああ、透くん!!」

 ガチャリと言う音と共に新郎が部屋に入って来た。

 黒い紋付き袴姿の透だ、髪の毛はオールバックにして整え、手には扇子を持っている。

「おじさん。いや、あのお義父さん・・・」

「あはははは・・・」

「やっぱりまだ違和感があるね、透くん」

「まあ最初っから息子みたいなモンだったけどな!!」

 と、透に義父呼ばわりされた克典が苦笑交じりにそう応える。

「お義父さん、お義母さん。今後はどうかよろしくお願い致します」

「こちらこそです!!」

「どうかよろしく、娘共々よろしくお願いします!!」

「透・・・」

「柚希・・・」
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