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第1章 崩口川（くえくちがわ）

「コラ武方!!オドレはふざけとんか!?オラオドレ!!オドレは耳が遠いのか!?」

ちえりの父親は、泣きそうな声でのりおに言うた。

「城ノ井さん…聞こえているよ…今、職場は人手が足りないので困っているのだよ…手短にしてくれるかな…」

のりおは、ものすごく怒り狂った声で怒鳴りつけていた。

「コラクソアホンダラボケジジイ!!オドレはいつになったら返事するのだ!!」
「返事…」
「奈美はいつになったらのりひこからのプロポーズに答えるのだといよんのが聞こえんのか!!」
「プロポーズ…プロポーズってなに？」
「オドレはオレをおちょくっとんか!!ほんなら奈美はのりひこからのプロポーズを断ると言うのだな…もうええ!!ほんならオドレの娘が松山の私立高校時代に妊娠していた時に、学校のトイレの便器の水たまりに赤ちゃんを産み棄てて殺した事件の再捜査を県警の本部長に申請するから…カクゴしておけよ!!」

（ガチャーン!!）

電話をガチャーンと切ったのりおは、再び受話器を上げて、新居浜で暮らしている知人のヤクザの親分に電話をしていた。

のりおは、このあと過激な行動に出てしまったようだ。

その一方で、ちえりの父親はのりおからイカクされたので、激しく怒り狂っていた。

この時、双方の家同士によるドロ沼の戦争が始まった。