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第2章 崩口川(くえくちがわ)・排撃

２

分津理(ぶっつり)は、４月15日に照史に強烈な暴力を加えて心肺停止の状態に追い込ませて殺したので、殺人未遂の現行犯でケーサツに逮捕された。

逮捕直後の簡易鑑定で、分津理は分裂症のうたがいがあるという診断が下されたが、刑事責任能力の有無の判断は見送られた。

警察署の刑事たちのイライラが高まっていたので、気に入らないことがあれば分津理ばかりに暴行を加えるようになっていた。

愛媛県警は、管内(旧東予市と旧小松町と旧丹原町)で発生している二つの事件で容疑者が逮捕されていないので、分津理が起こした殺人未遂事件の取り調べを無期限中止にして、拘置所へ送る措置を取った。

分津理は、今治市にある拘置所に送致された後、狭い個室に押しこめられた。

そして、グリスがベトベトに塗られているくさりで身体を縛り付けられた。

それからカレはどうなったのかと言うと、カンシュたちがイライラした時のうさばらし用のサンドバッグにされた。

カンシュたちは、それ以降気に入らないことがあれば分津理に殴るけるの暴行を加えることを繰り返すようになっていた。

分津理は、カンシュたちからより強烈な暴力を受けても『オレがいたら世間のガンなのだから、強烈な暴力を受けても仕方がない…』と思ってあきらめていたので、殴られっぱなしになっていた。