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おとなりの、ひとづまと。
第1章 家呑みの果て。
「――やあ、翔太。相変わらず、寒い夏休みをダラダラと堪能してるね。今日も何処にも出掛けなかったのかい?」とさくらさんは、おれからテレビのリモコンを奪い取り、チャンネルを回した。
相変わらずハスキーな声だ。酒の飲み過ぎだろう?と聞いたら、生まれつきの地声だよといつも言い返して来る。
引っ越して来た当初は黒髪で、清楚な人妻と言った印象があるが、最近はタチの悪いヤンキーの様な格好をしていた。
夏前に明るい茶色になった少し癖のある髪、少しサイズが大きい甚兵衛。
基本的に口調も立ち振る舞いも男っぽい。垂れ目で、たまに意地悪く微笑む表情が印象的。
綺麗かブスかで答えると綺麗で、好きか嫌いかで答えると好き、と評する人が多いだろうなぁ、素直にそう思える人だった。
「そんなのさ、利き腕の肘折ってギプス巻いてんだもん、こんなナリで遊びに行ってもつまんねえじゃんか?」とおれは、唇を尖らせた。このやり取りは夏休みに入ってから三回はしている。
「ホント、夏休み前に骨折ってバカの極地だよ。しかも柔道で負けて腕折るとか、超ダセぇし」
「負けてじゃ無くて、超デブを巴投げしようとして圧し潰されたんだよ。ってゆーかさ?最近、家呑みの回数多く無い?さくらさんたちさ、一応新婚なんでしょ?週末なんだからどっか遊びに行けばいいじゃん?」
「はあ?一応じゃ無くて、しっかり新婚だわ!それに週末だから翔太んちに遊びに来るんじゃん?楽しく一緒に酒飲んでくれる人がいるとこ程楽しい遊び場は他にねえの。まぁ、ガキのアンタには分かんないだろーけどね」
そう言うと、さくらさんはとおれの頭を手でぐしゃぐしゃとする。
隣りの人妻というか、従姉とか友達のお姉さんと言った感じ。
「それで、その日本酒、また高いヤツなの?なんて読むの?せ?まつり?」
「バカか翔太?これは、だっさい、って読むんだよ。高級品。アンタの小遣い三か月分くらいはするかな?」
「いやいや、だからさ、おれはソレがイマイチよく分かんないんだけど。安上がりだから家呑みしてるワケでしょ?それなのに高い日本酒をガバガバ呑むわ、ブランドの牛肉アホみたいに買って来るわ、シメにキャビア茶漬け食うわ……結局、普通にその辺の居酒屋行くより金使ってんじゃねえの?っていつも思う」
おれが呆れ顔でそう言うと、さくらさんも呆れ顔で笑っていた。
相変わらずハスキーな声だ。酒の飲み過ぎだろう?と聞いたら、生まれつきの地声だよといつも言い返して来る。
引っ越して来た当初は黒髪で、清楚な人妻と言った印象があるが、最近はタチの悪いヤンキーの様な格好をしていた。
夏前に明るい茶色になった少し癖のある髪、少しサイズが大きい甚兵衛。
基本的に口調も立ち振る舞いも男っぽい。垂れ目で、たまに意地悪く微笑む表情が印象的。
綺麗かブスかで答えると綺麗で、好きか嫌いかで答えると好き、と評する人が多いだろうなぁ、素直にそう思える人だった。
「そんなのさ、利き腕の肘折ってギプス巻いてんだもん、こんなナリで遊びに行ってもつまんねえじゃんか?」とおれは、唇を尖らせた。このやり取りは夏休みに入ってから三回はしている。
「ホント、夏休み前に骨折ってバカの極地だよ。しかも柔道で負けて腕折るとか、超ダセぇし」
「負けてじゃ無くて、超デブを巴投げしようとして圧し潰されたんだよ。ってゆーかさ?最近、家呑みの回数多く無い?さくらさんたちさ、一応新婚なんでしょ?週末なんだからどっか遊びに行けばいいじゃん?」
「はあ?一応じゃ無くて、しっかり新婚だわ!それに週末だから翔太んちに遊びに来るんじゃん?楽しく一緒に酒飲んでくれる人がいるとこ程楽しい遊び場は他にねえの。まぁ、ガキのアンタには分かんないだろーけどね」
そう言うと、さくらさんはとおれの頭を手でぐしゃぐしゃとする。
隣りの人妻というか、従姉とか友達のお姉さんと言った感じ。
「それで、その日本酒、また高いヤツなの?なんて読むの?せ?まつり?」
「バカか翔太?これは、だっさい、って読むんだよ。高級品。アンタの小遣い三か月分くらいはするかな?」
「いやいや、だからさ、おれはソレがイマイチよく分かんないんだけど。安上がりだから家呑みしてるワケでしょ?それなのに高い日本酒をガバガバ呑むわ、ブランドの牛肉アホみたいに買って来るわ、シメにキャビア茶漬け食うわ……結局、普通にその辺の居酒屋行くより金使ってんじゃねえの?っていつも思う」
おれが呆れ顔でそう言うと、さくらさんも呆れ顔で笑っていた。