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ペリドット
第1章 台風9号が直撃する夜。
「ヤダ……そんなところ、舐められたことないです」
「でも、気持いいんでしょ?」
 彼女は僕の問いには答えない。
 でも、本音は恥ずかしくて言えない性分の人なのだから仕方無い。腋を舐め、胸を揉みつつ、彼女の顔を眺め見る。
 時折、半開きの口がパクパクと金魚の様に動いていた。
 我慢しないで、喘いでしまえばいいのに……そうしないのが彼女の美徳なのかもしれないが、感じているなら声を出せよと思うのが男の性でありエゴであるのだ。
 彼女は僕がその表情を眺めていることに気が付くと、口を閉じて顔を背けてしまった。
 しかし、そうすると、またあの可愛らしい耳が視界に現れる。
 触りはしなかったが、色々と弄り甲斐のある女だと思い、密かに笑みを零した。

「服、脱がしちゃっていいかな?」
「え……はい、お願いします」
 僕は唐突に問いを投げ掛けてみた。
 彼女は俄かに戸惑いつつも受け応えてくれた。
 まだ顔は背けられたままだったが、それなりに腹は決めているのだろう。
 人妻が薄暗闇の中で自ら脱衣するシーンは見てみたいな、と思ったが、今からその事について一々交渉するのは些か面倒に思えたので、そう言った嗜好のプレイは後日でいいかとなり、結局ワンピースの裾を捲り上げ、所謂、普通の脱がせ方をする事にした。
 
 スルスルとたくし上げると、これまた日光に晒した事が無いのでは?と思える程に白い太腿が現れる。
 薄暗闇の中ですらそう感じるのだから、明るい照明の下ではさぞ美しい事だろう。
 しかし、それもまた後日だなと僕は欲望を心の奥に仕舞い込む。
 そう、要するに多分、明かりを付けたいと言い出すと、そこでまた一悶着あって、面倒臭い事になるからだ。
 今日の所は取り敢えず裸にして、彼女の望む普通のセックスをしてあげて、既成事実を作るだけでいい。
 そんな事を考えながら、僕はゆっくりと水色ワンピースの裾を捲り上げていた……。
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