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ペリドット
第2章 ふたりの少女。
 ダメだ、容赦無く付け入って来る。
 正直、苦手なんだこう言うタイプは。
 行き着けの喫茶店でなければ、とっくに唾吐いて逃げ出してるだろう。
 ああ、やっぱりそれは嘘だ、僕は他人に唾は吐けない、とんでもなく苦い笑みくらいは手向けれるけれど。
「でも、そんな時間に僕の部屋に遊びになんて来たら、お父さんとお母さんに怒られちゃうだろ?」
「リクね、パパいないから」
「うーん、そうか……でも、お母さんは怒るだろう?」
「ママは毎日リクに早くオトコ作って連れてこいって言って来るから、それくらいでは怒らないと思うよ?」
「あー、あれだよ、リクが怒られなくても、僕が僕のお母さんに怒られてしまうからさ」
「タチバナくんはマザコンなの?」
「いや、それは無い神に誓って……」
「じゃぁ、いいじゃん気にしなくて。あーあ、お客さん来ちゃったね。リクもう行くね。メール待ってるから。あと、ハンバーグ定食も持って来てあげるね」
「あ、ちょっと……」
 なんてタイミングで客が来るのだろうか。
 日頃の行いはそれ程悪くは無い筈なのに、全てが裏目に出てしまう。

 それにしても、何かがおかしい。
 どう考えても、こんなのは僕の人生では無い。
 昨日は人妻、今日は女子高生とか……。生来、そんなにモテる男では無いのだ僕は。
 もしかして知らない内に一般人参加型のドッキリにでも参戦してしまっているのだろうか?
 それとも、これが世に聞くモテ期というやつか?人妻とか未成年とか変化球ばかりだが、それでも無いよりマシだろう?と神様が僕を導いてくれている?
 どちらにせよ、関東から台風は過ぎ去りそうだが、僕の心中は暗雲立込め、荒れに荒れていた。
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