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ペリドット
第2章 ふたりの少女。
 ん?あれ?おかしい、いつの間にやら僕はリクの事が気になって仕方なくなっているんじゃないのか?
 いや別に早く帰れたからといって、今日誘う必要は無い。けど、リクが無邪気に喜ぶ姿はみたい、のか?
 あれ?そうだったっけ?僕はリクに対してそうだったっけ?
 いや、多分この雰囲気のせいだ。この大人感丸出しの趣味の悪い雰囲気が、純真で無垢そうなリクへと心を駆り立てているのだろう。
 シズカが僕を逃げ場にしているのと同じで、僕はリクを逃げ場にしようとしているのだ。
 サラリーマンにとって女子高生って存在は非現実的でファンタジックだから。ある程度お金を払えばリアルに転じてしまうのだろうけど。
 自分の愚かさに笑えてしまう。五月蝿いだけのお喋りモンスターとかちょっと敬遠してたつもりなのに、いつの間にか気になる存在になっているじゃないか。
 
 ――いや、しまった、やはり僕は馬鹿だった。基本的に妄想に没頭しすぎる傾向が強いのだ。
 今日みたいな日は、危険察知能力を最大限に解放して、常に四周を警戒して、瞬きも惜しんで、僅かな抜け道を探し出さなければならなかったのに。
 ビアガーデンに着いて、誰かに腕を引かれて席に着いた時、僕の眼前には何故か鈴木係長が降臨していた。
 思わず目を閉じて天を仰いでしまう。何をやってるんだ僕は?ここは今、正に世界の中心じゃないか。
 何でこの上なく平凡過ぎる僕如きが、神々しく光輝く鈴木係長の前に座っているんだ?
 全く理解が出来ない。リクへの淡い想いも今となっては破綻してしまっている。
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