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ペリドット
第2章 ふたりの少女。
「ねえ、橘?ビール頼んで、アンタの分もね」
 そして、飲むペースが尋常じゃ無く早い。僕にしてみたらいつもの倍くらいのスピードだ。
「係長っていつもこのペースで飲むんですか?」
「時と場合によるけど、今日は飲みたい気分だからさあ」
「ビールだけですか?」
「アタシは好き嫌いは無いよ。あ、そうだ、アンタさ今週の金曜って予定ある?」
「金曜ですか?えーっと、予定は無いですけど?」
「あっそう、じゃぁ空けといて」
「ゴルフですか?」
「あはは、真夏にゴルフする程オッサンじゃ無いから。ちょっと買い物付き合って欲しいの」

 ――などと、安請け合いしつつも、頭の中にはリクの顔が浮かんでいた。
 記憶が曖昧だが、確か金曜か土曜が誕生日だから遊ぼうって約束をしたのだ。
 土曜だった気がするが、どうにも記憶が薄くて確証が得られない。
 しかし、鈴木係長からのお誘いを断る訳にもいかないわけで。
 そして、また僕はリクへの罪悪感を募らせてしまうのだ。
 新たなビールが届き、僕達は再び乾杯をした。
 既に周りからは孤立していて、別グループであるかの様な雰囲気すら醸し出していた。

「今日は何時に待ち合わせですか?」
「うーん、あの人仕事終わるの遅いからねぇ。二十二時くらいかな?」
「あと二時間くらいありますね」
「そうだね、アンタはまだ時間いいの?」
「時間はいいんですけど、会社の宴会に何時までも付き合いたくは無いと言うか」
「あはは、なるほど、そう言うことね。じゃぁ場所変える?近くに行き着けのバーがあるから」
 多分、こう切り出したら鈴木係長は僕を外へと連れ出してくれるだろうと言う思惑はあった。
 もう既に僕達は二人きりでビアガーデンに来てる様なものだし、先輩方は会話に参入して来る気配すら見せ無いから、僕としては係長に引き摺られて外に出てしまえば全ては丸く収まると思っていたのだ。
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