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ペリドット
第2章 ふたりの少女。
 そして、その美しい後ろ姿も見えなくなり、この場に佇む意味を失ってしまったので頂いた名刺を丁重に財布に入れ、駅へと向かう事にした。
 歩きながらケイタイをチェックすると、十九時時過ぎにリクからのメールが一件あった。

【もう!メールもくれないんだもん!タチバナくんって結構冷たいヒトだったんだね。リクはさぁ、タチバナくんからのメールをね、ずーっと待ってるんだよ?ずーっとケイタイとにらめっこしてるんだよ?先輩さん達とお酒飲んでてもさー、ちょびっとくらいメールする時間はあると思うんだよねぇ。やっぱり、リクみたいなお子様はタチバナくんみたいな大人には相手にされないのかなぁ?リクはすっごくタチバナくんの事大好きなんだけど、タチバナくんはそうでもないんだろうなぁ。今日だって、先輩とって言ってたけど、もしかしたら女の子とお酒飲んでるかもしんないし、もしかしたらエッチなお店とか行ってるかもだし。そしたら、多分リク泣いちゃうよ。タチバナくんはエッチなお店に行く様なヒトでは無いと思うけど、でもやっぱり先輩さんに誘われちゃったら断れ無いだろうし……】

 あれ、なにこれ?ちょっと長文過ぎるだろ。
 しかも、まだまだ延々と文章が続いてるし。
 直ぐにリクにメールしてやろうと思っていたのだが、取り敢えず一度ケイタイを閉じる事にした。
 やはり、女子高生ってヤツは非現実的でファンタジックなのだ。エキセントリックでもある。
 自由人だが専務と大人の恋愛をしている鈴木係長の方が断然人間味に溢れていて、断然付き合いやすい。 
 今朝まで雨風が酷かったなんて想像も出来ないくらいに晴れ渡る夜空の下で、僕の妄想はまたもや迷走しそうになっていた。
 何とか抑え込んで電車に乗り込んだのだが、鈴木莉奈と言う強烈なニューファクターは僕の妄想力を限り無く刺激するのだ。
 それに酔いも加算され、僕は脳みそをパンパンにしつつフラフラと家路につくことになった。
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