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こいのうた。
第16章 仄香る
大丞の部屋を開けると、一華が椅子に座って窓の外を見ていた。

「一華…」


コーヒーをテーブルに置きながら、少し震える声で一華を呼ぶ。


振り向いた一華の瞳は、涙で濡れていた。


「先輩…私……ごめんなさい…」

「話して」

「別れたいの…一緒にはいられない…」

「…大丞とのこと?」

「…先輩のこと大好きだけど、離れると寂しくて、どうしようもなくて…大丞くんに先輩を重ねて…」

「…」

「止められないの…これからも、私…何するかわからないから、先輩とはこのまま一緒にいられない…」

「一華ちゃん」

「ごめんなさい……もう先輩を裏切りたくない…」

「大丞が好きになった?」

「ううん…好きなのは先輩だけ」

「だったら…」

「怖いの……先輩がいないと壊れそうになるの…」

そう言ってまた窓の外に目を向けてしまう。

京丞は、どうしていいかわからなくなる。


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