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こいのうた。
第16章 仄香る
学校を出ると、京丞は家に向かって走った。

いつもより遠く感じる道のり。
空気が冷たい。


家につくと、店の中を通って、自宅に駆け込む。

2階のキッチンでは大丞がコーヒーを淹れていた。

「おかえり」

「…一華に何した?」

大丞の声を聞くなり、詰め寄る京丞。

「…お前がいない間、一華ちゃん苦しくて、寂しくて、おれのとこに来た」

「…」

「見ていられなかった。だから、お前の代わりに抱いた。それだけだ」

「それだけ…? 一華は俺の女だぞ! 軽々しく触るな」

「一華ちゃんの気持ちも少しは考えろよ」

「…なんだよ、気持ちって」

「本人に聴けよ」

そう言って大丞は京丞に、淹れたてのコーヒーを渡すと、階段を降りる。

「一華ちゃん起きてるから。それ持ってってやって。おれは下にいる」




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