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カゴノトリ
第1章 部屋の前
姉ちゃんだ……。
「そうだ……してごらん……そう、もっと……そうだ、そうだ……もっと開いて……もっとだ……」
今度は、男の低い太い声だ。
剛三の声だった。
優しく諭すような声だ。
中にいるのは、剛三と美保だった。
卓也は耳を塞ぎたかった。
卓也は両手を顔の脇に持っていった。
しかしその手は耳を塞げなかった。
両手は、頭を抱えただけだった。
卓也は現実を知りたかったのだ。
何も知らずに、想像するだけの方が怖かった。
だったら、現実を知っていた方が耐えられる。
しかし、現実は、ドアの前にうずくまり、やはり想像することしかできなかった。
頭を手で抱えたまま、首を振った。
「そうだ……してごらん……そう、もっと……そうだ、そうだ……もっと開いて……もっとだ……」
今度は、男の低い太い声だ。
剛三の声だった。
優しく諭すような声だ。
中にいるのは、剛三と美保だった。
卓也は耳を塞ぎたかった。
卓也は両手を顔の脇に持っていった。
しかしその手は耳を塞げなかった。
両手は、頭を抱えただけだった。
卓也は現実を知りたかったのだ。
何も知らずに、想像するだけの方が怖かった。
だったら、現実を知っていた方が耐えられる。
しかし、現実は、ドアの前にうずくまり、やはり想像することしかできなかった。
頭を手で抱えたまま、首を振った。