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カゴノトリ
第1章 部屋の前

あの白く細い小さな姉ちゃんの体が、大きな身体の剛三から捕まれ、手や手以外のところで触れられているんだ……。
卓也は十五歳だ。
自分はまだ、それをしたことはないが、その行為を知らない歳ではなかった。
今日の夕方、剛三が五日振りに帰ってきた。
出張からだった。
夕食のとき剛三は、明日からまた出張だと、卓也と美保に向かって言った。
今度は一週間だ、と告げた。
そのとき剛三が、ちらりと美保に目配せをしたのを、卓也は見逃さなかった。
美保は怯えた表情をした。
卓也は、何か汚いものを見た気がした。
いや、これから自分が汚いと感じる何かが起こる予感がした。
その深夜、卓也はその予感に導かれ、近づくな、と言われていた寝室の前に来たのだった。
ぎしっ、中から音がする。
ベッドのスプリングがきしむ音だ。
「んぐっ……いやっ! ううんっ……うぅん……」
美保の口が何かで塞がれたようだった。

