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生け贄企業
第1章 生け贄企業


週が明けて…6月28日の朝8時頃のことであった。

ところ変わって、孫市夫婦の一家が暮らしている家の近辺にある家にて…

家は、藤高さんのご主人と家族が暮らしている家である。

家族は、夫婦と長男夫婦と女子高生の長女であった。

長女は、有津屋公園で発生したレイプ殺人事件で亡くなった。

長男は、単身赴任中なので家にいない…

妻には先立たれた…

その上に、藤高さんは職場でセクハラパワハラオワハラを繰り返していたので、チョウバツ委員会にかけられていた。

藤高さんは、ひどく気落ちした状態で長男の嫁が運転する車に乗り込んだ。

「義父さま、行きましょうか。」

長男の嫁(35歳・パート)が戸締まりをすませて運転席に乗り込んだ。

長男の嫁が運転するミライース(軽四輪)が出発した。

車は、南堀通りから海岸沿いの工業地区~港大橋を越えて、東鳥生の埋め立て地の地区の道路を走っていた。

長男の嫁は、藤高さんをキューデン本社へ送り届けたあと、頓田川の向こうにあるコスモス(ドラッグストア)へパートに行く予定であった。

移動中の車内にて…

後部座席に座っている藤高さんは、ひどく気落ちしていた。

長男の嫁は、やさしい声で藤高さんに声をかけた。

「義父さま、元気出してね…義父さまが一生懸命になって、部下のことを想っているのはよくわかるわよ…」

長男の嫁のやさしい言葉は、藤高さんの耳には届いていない…

その時であった。

藤高さんと長男の嫁が乗っている軽四が橋を越えてから200メートル先の道路でエンコして停まった。

どうしよう…

エンジンがかからないわ…

長男の嫁はひどくあせっていた。

藤高さんは『いいよ…歩いて行くよ…』と言うて車から降りたあと、キューデン本社に向かって歩いていった。

恐ろしい凶悪事件は、それから数分後に発生した。
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