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スカーレット オーク
第29章 29 リクエスト

直樹は緋紗をテーブルに着かせ厨房に入っていった。
ランチは今夜のディナーに出す鴨がメインの豆乳鍋の試食をする。
今日は女性客のみなので『女性ウケ』を狙ったものを出すらしい。
「緋紗ちゃん、お疲れ様。もうお皿作ってくれたんですってね。仕事が早いのね」
「いえ。まだ明日高台を削って仕上げします」
「いやー。早いよー。ロクロ」
思い出したかのように感心して和夫が言った。
「鍋来ますよ」
煮えたぎった大きな土鍋を直樹が運んでくる。
「お昼からすごいですね」
緋紗が目を丸くする。
「試食だし朝夕はゆっくりできないからせめてランチだけでもねえ」
小夜子が肩をすくめて言った。
「今日は女性が多いからデザートも増やしてね」
客層によって違う対応に緋紗は感心した。
どの道のプロもアマチュアとの違いは狙いや意志の明確さだと思う。
長い時間かけてもぼんやりやっていては、いつまでも素人なのだ。
彼女はまだ自分が好きなことをしてはいるが、その次のことを考えられなくて悩む。
習うことが好きでも、いつまでも修行中というわけにはいかない。
ランチは今夜のディナーに出す鴨がメインの豆乳鍋の試食をする。
今日は女性客のみなので『女性ウケ』を狙ったものを出すらしい。
「緋紗ちゃん、お疲れ様。もうお皿作ってくれたんですってね。仕事が早いのね」
「いえ。まだ明日高台を削って仕上げします」
「いやー。早いよー。ロクロ」
思い出したかのように感心して和夫が言った。
「鍋来ますよ」
煮えたぎった大きな土鍋を直樹が運んでくる。
「お昼からすごいですね」
緋紗が目を丸くする。
「試食だし朝夕はゆっくりできないからせめてランチだけでもねえ」
小夜子が肩をすくめて言った。
「今日は女性が多いからデザートも増やしてね」
客層によって違う対応に緋紗は感心した。
どの道のプロもアマチュアとの違いは狙いや意志の明確さだと思う。
長い時間かけてもぼんやりやっていては、いつまでも素人なのだ。
彼女はまだ自分が好きなことをしてはいるが、その次のことを考えられなくて悩む。
習うことが好きでも、いつまでも修行中というわけにはいかない。

