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スカーレット オーク
第29章 29 リクエスト

緋紗が考えていると小夜子が、「直君も少しは考えてくれるといいんだけど、曲」と、直樹を横目で見ながら言った。
「そういわれても弾けるものが限られてますからね」
素っ気ない直樹にぷうと小夜子は軽く膨れ、緋紗に振ってきた。
「緋紗ちゃんは好きな曲ある?」
「え、あ。えーっとあんまり詳しくないんですけどバッハが好きです」
「へー。意外~」
「繰り返す感じが好きで。ボレロも好きです」
「なるほどね。そういわれると緋紗ちゃんに合ってるかもしれないわね。直君なんか緋紗ちゃんの好きそうなの弾ける?」
「あの。お構いなく」
緋紗はたいして知らないのにリクエストだけしたような雰囲気に少し慌てた。
「んー。なんか考えときます」
さらっと答えて片付け始めた直樹が厨房に行っている隙に小夜子が、「もっとなんか色々わがまま言ったらいいわよ」 と、緋紗に耳打ちした。
「え。そうですか。なんかあまり言うことがなくて……」
「小夜子は女王様だからなあ。直樹も王様っぽいから、わがまま言うならあいつのほうだろ」
――そういえば直樹さんと小夜子さんは雰囲気似てる部分もあるかも。私と和夫さんは庶民派かな。
和夫になんとなく納得する緋紗だった。
「そういわれても弾けるものが限られてますからね」
素っ気ない直樹にぷうと小夜子は軽く膨れ、緋紗に振ってきた。
「緋紗ちゃんは好きな曲ある?」
「え、あ。えーっとあんまり詳しくないんですけどバッハが好きです」
「へー。意外~」
「繰り返す感じが好きで。ボレロも好きです」
「なるほどね。そういわれると緋紗ちゃんに合ってるかもしれないわね。直君なんか緋紗ちゃんの好きそうなの弾ける?」
「あの。お構いなく」
緋紗はたいして知らないのにリクエストだけしたような雰囲気に少し慌てた。
「んー。なんか考えときます」
さらっと答えて片付け始めた直樹が厨房に行っている隙に小夜子が、「もっとなんか色々わがまま言ったらいいわよ」 と、緋紗に耳打ちした。
「え。そうですか。なんかあまり言うことがなくて……」
「小夜子は女王様だからなあ。直樹も王様っぽいから、わがまま言うならあいつのほうだろ」
――そういえば直樹さんと小夜子さんは雰囲気似てる部分もあるかも。私と和夫さんは庶民派かな。
和夫になんとなく納得する緋紗だった。

