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スカーレット オーク
第33章 33 オーナー
 和夫は厨房に居て、夜のための仕込みを行っていた。

「失礼します。オーナー。皿が仕上がったので良かったらサインお願いします」

 和夫は気を良くして、「オーナーなんて言ってくれるの緋紗ちゃんくらいだな」と、手に持っていた小皿を渡した。

「これは?」
「鹿のステーキ」

 赤い肉の塊をつまんで食べてみる。

「柔らかくて美味しいー」
「緋紗ちゃんはなんでもよく食べるね。小夜子もだけどな」
「肉体労働者なので」

 笑いながら緋紗は言った。

「ごちそうさまでした。お皿も仕上がったので窓磨いてきます」
「助かるよ。ほんとまた来てくれるといいんだがな」
「私も来れるなら来たいです」

 照れながら頭を下げて厨房を後にした。

 
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