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スカーレット オーク
第35章 35 アルバイト
緋紗が起きるともうベッドは空っぽで直樹は厨房に行ってしまった後だった。
朝から気が滅入ってしまい重い気持ちを引きずって緋紗は厨房へ向かった。
少しは慣れた朝の支度を一生懸命手伝っているうちに緋紗の気持ちも晴れてき、搾りたての牛乳を飲んだころには、もう、くよくよしてはいなかった。
朝食の用意もでき、いつでもスタンバイオーケーだ。
客が食堂に集まり始め、直樹が同級生のところへ運んでいく。
また何か話している。
緋紗も食事を運びながら気になって横目で見てしまう。
折角忘れていたのにまた気分が沈んできてしまい、客たちがひけるまで鍋を必要以上にピカピカに磨く。
食堂も厨房もすっかり片付くと和夫と小夜子がやってきて緋紗にテーブルに着くように言った。
小夜子がエプロンのポケットから緑の和紙の綺麗な封筒を取り出し、テーブルの上に置く。
「これ少ないけどお給料です」
「え」
緋紗は少しびっくりして首を振った。
「え、って緋紗ちゃんバイトに来たんでしょう?」
笑いながら小夜子が言った。
「は、はあ」
――そうだった。一応バイトだった。
朝から気が滅入ってしまい重い気持ちを引きずって緋紗は厨房へ向かった。
少しは慣れた朝の支度を一生懸命手伝っているうちに緋紗の気持ちも晴れてき、搾りたての牛乳を飲んだころには、もう、くよくよしてはいなかった。
朝食の用意もでき、いつでもスタンバイオーケーだ。
客が食堂に集まり始め、直樹が同級生のところへ運んでいく。
また何か話している。
緋紗も食事を運びながら気になって横目で見てしまう。
折角忘れていたのにまた気分が沈んできてしまい、客たちがひけるまで鍋を必要以上にピカピカに磨く。
食堂も厨房もすっかり片付くと和夫と小夜子がやってきて緋紗にテーブルに着くように言った。
小夜子がエプロンのポケットから緑の和紙の綺麗な封筒を取り出し、テーブルの上に置く。
「これ少ないけどお給料です」
「え」
緋紗は少しびっくりして首を振った。
「え、って緋紗ちゃんバイトに来たんでしょう?」
笑いながら小夜子が言った。
「は、はあ」
――そうだった。一応バイトだった。