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スカーレット オーク
第36章 36 露天風呂
 直樹は高く積み上げた薪を猫車に乗せて薪置き場に運んだ。
これだけあればこの冬くらい困らないだろう。
今は和夫と小夜子でなんとか切り盛りしているペンションだが、遅くとも秋には和夫一人でやっていかなければならないはずだ。――早く誰か雇えばいいのにな。

 最初の二年は苦しい経営状況だったようだが、ここのところ新規もリピーターも知名度と口コミによって安定して増えている。
直樹はこのペンションを手伝うことが好きだったが年に一度くらいでちょうどよかった。――小うるさい兄貴から解放されるし。

 年末年始の家族からの逃避でもあった。
しかも今年は緋紗も一緒だったのでより楽しく過ごせた。
これからの事をなんとなく考えないでもないがぼんやりとし過ぎた見通しで今は何とも思えない。
細かい木切れを片付けながら遠くの薄青い空をみた。
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