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スカーレット オーク
第37章 37 メイクアップ
 緋紗は散歩をし、スカーレットオークの前に立ち、幹を撫で細い炎の様な葉っぱを一枚拾う。――記念にしようか。
 軸をもってクルクル葉っぱを回していると小夜子がやってきた。

「緋紗ちゃん。そろそろ着替えてほしいんだけど。あなた、お化粧品とか持ってるの?」
「あ。持ってません」
「はあ。そうなのねえ。ドレスもって私の部屋に来てくれる?」
「はい。伺います」

 小夜子は戻っていった。――女失格って思われちゃったかなあ……。

 緋紗も急いで部屋に戻りドレスを持って小夜子のもとへ向かう。
茶色いドアのそばにはインターホンがついていて押すと、「どうぞー」と、声がしたので「失礼します」と、ドアを開けた。
するとニ畳くらいのスペースがあり、童話の魔法の部屋のようにピンク、水色、黄緑と色の違う三枚のドアがある。

和夫と小夜子の住まいは三部屋あって、それぞれの部屋が最初の茶色の扉を開けた左右にあり真ん中が寝室になっている。
ピンクのドアから小夜子が出てきた。

「こっちへどうぞ」

 小夜子の私室に通された。
六畳くらいのスペースでピンクのベロア生地が張られた猫足の寝椅子と、同じような雰囲気の木製ドレッサーがあり、ここだけ高級感が漂っている。
緋紗が天井のアールヌーボー調のシャンデリアを眺めているとガウンを羽織った小夜子が、「ここに座って」と、すべすべした木でできた可愛らしい猫足のスツールを指さした。

言われるままに座ると小夜子は緋紗の眼鏡を取って顔に、ローションをコットンにしみ込ませて叩くように塗り、そしてパウダーをはたきだした。
緋紗は黙ってされるがままになっている。
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