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スカーレット オーク
第47章 47 祝福
 緋紗は少し早目に支度をしてアパートを出ると、店を挟んだ向こうの道から百合子がやってくるのが見えた。

「おーい」

 緋紗が手を振ると百合子も大きく手を振った。

「ちょうどやなあ」
「うん。早めに着たつもりだったんだけどね」
「うちもや」

 笑いながら二人で店内に入った。
店員に奥の方の静かそうな席を案内してもらう。
二人で色々と注文してドリンクバーのジュースで乾杯した。

「百合ちゃん、おめでとう」
「ありがとな」
「今日はおごらせてよ」
「えー。うちがおごろうかと思ってたんだけど」
「いいじゃんいいじゃん。お祝いさせて」
「じゃお願いしようかな。ありがとう」
「今日はあぶり休み?」
「うん。明後日から焚きだすよ。今回は昼間担当だから、夕方からは鈴木先輩で深夜が谷口君」
「そっか。うちんとこは先週終わってん。今日窯出ししたよ。実は結婚式の引き出物入れててな。ええ焼けだった」
「へー。それすっごいいい記念だね。なに作った?」
「こてこてやけど、ペアグラス。紫蘇色が綺麗に出たで。ちょっと温度高めでギラついてるけどおめでたいからええやろ」
「うんうん。いいと思うよ」
「で、緋紗ちゃんのほうはどないなってんねん」
「そうじゃなあ」

 緋紗は、かいつまんでこれまでのことを話した。
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