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スカーレット オーク
第47章 47 祝福
「やっぱりペンション行ったんか。しかも趣味があってええなあ」
「うん。大友さんは私のこと、どう思ってるのかわからないけど……。私は好きになったみたい」
「最初っから好きやろ。それ一目惚れってやつやで」

 百合子は鋭く突っ込んだ。

「ああ。今思えばそうなんかなあ」
「相手もたぶん好きやとは思うけど。そういうときの男って、どうしたいんかが、わからんよなあ」
「うーん。私もどうしたいんかわからんもん」
「そうなん?結婚したいとか思わへんの?」
「正直そこまではちょっと思ったことないよ。なんか想像つかないし。大友さんは一人が好きそうでさ。私は一緒におられたらええかもって思うこともあるけどね」
「そうやなあ……。でも緋紗ちゃんは陶芸できんとあかんやろ?静岡ってなんかあったっけ?」
「特に何にもないわ。近い窯業地になると多治見か益子か越前かなあ」
「全然近くないやん」

 二人で笑った。

「今はまだどういう関係かもはっきりしないしさ。そんなこと考えてもね」

 実際に正直な気持ちだった。

「会いたいとは思うけど先のことまでちょっと考えられないかな。自分のことすらあんまり考えてないし。そろそろどうにかしなきゃな、とは思うんだけど」
「そうやなあ。男ならもう作家になるとか窯元に永久就職って考えるんだろうけど。女がここで一人で作家やっていくってものすごいバイタリティーいるで」
「うん。私は野心もお金もないから備前焼作家ってのはないかな。窯元で職人ってのも合ってないし。この前ペンション行ってさ。陶芸教室手伝ったんだよ。それが結構面白くてね。特に子供に教えるのが。これって私のハマリかもって思うことはあったんだ」

 緋紗は思い出して興奮気味に百合子に話した。
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