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スカーレット オーク
第48章 48 窯焚き
「なおー、大友さんこっちです」

 言い直して緋紗は直樹を自分の持ち場のほうへ呼び、純綿の軍手を渡す。
 窯は穴窯というらしく一本の長い筒のようなトンネルのような形状で全長七mくらいだ。
大きな長細い繭のように見える。
十五センチ四方くらいの焚き口に、さっきくべていた薪よりも細い薪を使って火を焚く。
長さが八十センチで太さはせいぜい五センチ角くらいで『小割』と呼ばれるものだ。
主に赤松のようだが雑木も混じっていた。
横側の焚口は八か所あってチョークで番号を振ってある。
前から順番に二つずつ焚いて行くらしい。
一番を少し焚いていると松尾から指示があり、緋紗が二番の焚口を開け始めた。

「じゃ大友さんは一番焚いてください。こうやって薪を少しずつ中に入れて一定の火の量を保っているんです」

 緋紗が見本をみせる。
焚口にくべられている薪からはじゅうじゅうと樹液が出るものあり、触ると熱いが火や煙は窯の中に吸い込まれていき焚き手に熱波がかかることはなかった。

「お風呂を焚くのとか七輪で火をおこすのとは違って煙くないんだね」
「ええ。窯の『引き』っていうものがあるからなんです。こうやって火を引っ張ってくれないと温度も上がらないし全然焼けないんですよ。『引き』は窯の傾斜と煙突の高さにかかってるんです」

 緋紗の説明を直樹は聞き入った。

 薄暗い窯場で焚口から漏れる炎の光が、薪が燃えるのを見守る緋紗の横顔にチラチラうつる。
二人きりなると恥ずかしがり屋で思春期の少年のような危うさがあるのに、こうやって窯を焚き、ロクロを回す緋紗は、堂々としていて力強く気高い雰囲気すらある。
直樹は美しいと思った。
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