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スカーレット オーク
第54章 54 セレナーデで夕飯を
「懐かしい」

 ペンション『セレナーデ』の前に立つ。
木々は青々とし爽やかで真夏だというのに、気持ち良いそよ風と木陰が避暑地に最適だ。――スカーレットオークはどうなってるんだろ。
見回りたい気持ちもあるが和夫と小夜子に早く会いたかった。

「今日は玄関から入ろう」

 直樹はペンションのドアを開け、フロントに行きベルを鳴らす。
小夜子が直樹はそっちのけで「緋紗ちゃん!いらっしゃい」と、緋紗に向かってきた。

「小夜子さん、お久しぶりです」

 小夜子は少しふっくらしていて大きなおなかを抱えている。

「大きいですね」
「ふふ。まだまだ生まれないけどね。元気なのよ」

華やかさは変わらないがますます威風堂々として力強い。

「少し日に焼けたの?紫外線、気を付けないとだめよ?」

 小夜子は妹をたしなめるように笑って言う。

「どれくらいいるの?」

 直樹も緋紗も口を開く前にどんどん小夜子が聞いてくる。

「三泊四日の予定です」
「そうなの。あっという間ねえ」

 緋紗は小夜子にお土産を渡した。

「あの。これ。少しですけど」
「あら。まあ。いいのに。でも嬉しいわ」

 小夜子は喜んで受け取った。

「テーブルに着いてて」
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