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スカーレット オーク
第60章 60 木々
 ペンションの周りの森を歩く。
夏は緑色が濃い。
緋紗はスカーレットオークをみつけ幹を撫でていると直樹が、「また少し伸びたみたいだ」 と、見上げた。

「いつも見ても変わった葉っぱの形ですね。こんなのここで初めて見ました」
「このスカーレットオークはアメリカ産なんだ。他にも外国の木があるよ。レッドオーク、ピンクオークとか。このペンションを建てたときに小夜子さんが変わった木を植えたいって言ってね。それでこのオークらへんを勧めたんだ」
「へー。どおりで。外国っぽいですね」
「うん。時間差で紅葉もできるし綺麗だよ。オークは丈夫だし病気も少ないしね。まあ。スカーレットが断トツに紅葉が綺麗だよ」

 直樹の説明は耳に心地よい。

「こんな風に森の中って来たことがなかったですけど気持ちいいですね」
「同じ種類の木が並んで生えてるのもいいけど、こういう雑木林もいいもんだね」
「直樹さんのお仕事って素敵ですよね。緑があふれてるって大事なんだなあ。すごく落ち着きます」

 なぜか直樹は黙って微笑んでいる。

 ゆっくり二人で歩いているとガサガサと音がして和夫が現れた。
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