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スカーレット オーク
第64章 64 門出
松尾は黙って見守り、鈴木も押し黙ったままだ。
緋紗は沈黙に耐えられずこの夏のことを簡単に説明すると谷口が珍妙な顔をする。
「なんかよくわからんけどそれでええん?」
「うーん。いいもなにもねえ」
緋紗は他人事のように言う。
あのまま将来を見ないようにして関係を続けられるほど退廃的な二人ではなかった。
松尾がゆっくり口を開いて、「おめえらの世代は諦めやすいけーの。悟り世代じゃったかの」 と、寂しそうな顔をする。
鈴木は緋紗を擁護するように、
「緋紗ちゃんたちはバブルも知らんし、震災とか辛いことばっかり知っとる世代じゃもんな」
と、酒を飲みながら言った。
美紀子が、
「好きなんでしょう?」
と、優しく聞くので緋紗は思わず涙をこぼしてしまった。
谷口は余計な話をしてしまったというバツの悪い顔をしている。
「静岡か。産地でもないし知り合いもないし。うーん。いきなり窯もつけんしなあ。陶芸教室とかねえんか」
松尾の言葉を聞いているうちに緋紗はペンションでのことを思い出し冬にそこで過ごした話をしてみた。
緋紗は沈黙に耐えられずこの夏のことを簡単に説明すると谷口が珍妙な顔をする。
「なんかよくわからんけどそれでええん?」
「うーん。いいもなにもねえ」
緋紗は他人事のように言う。
あのまま将来を見ないようにして関係を続けられるほど退廃的な二人ではなかった。
松尾がゆっくり口を開いて、「おめえらの世代は諦めやすいけーの。悟り世代じゃったかの」 と、寂しそうな顔をする。
鈴木は緋紗を擁護するように、
「緋紗ちゃんたちはバブルも知らんし、震災とか辛いことばっかり知っとる世代じゃもんな」
と、酒を飲みながら言った。
美紀子が、
「好きなんでしょう?」
と、優しく聞くので緋紗は思わず涙をこぼしてしまった。
谷口は余計な話をしてしまったというバツの悪い顔をしている。
「静岡か。産地でもないし知り合いもないし。うーん。いきなり窯もつけんしなあ。陶芸教室とかねえんか」
松尾の言葉を聞いているうちに緋紗はペンションでのことを思い出し冬にそこで過ごした話をしてみた。