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スカーレット オーク
第67章 67 旅
――旅か……。
目を閉じればくっきり緋紗のことを思い出せた。
顔も身体も声も。
「ふぅ」
ため息をついているとドアをノックする音が聞こえた。
「どうぞ」
「おっす。飯だぞ」
兄の颯介が呼びに来た。
「うん。今行くよ」
本棚に置いてある緋紗が作ったペアのグラスに目をやり、そして残りのリストを打ち込んでから机を離れた。
一階へ食事に降りていくと母の慶子と義姉の早苗が天ぷらを並べており、座っている颯介の膝に聖乃がおとなしく座っている。
「なおー。なおー」
聖乃はいつの間にか片言の言葉を話すようになっており表情も豊かだ。
直樹によくなついているようで、見かけると抱きつこうとする。
「きよ。こんばんは」
直樹は聖乃を抱き上げてやって膝にのせた。
颯介はそれが気に入らないので、
「きよちゃん。直樹なんかなんにも面白くないよ。こっちおいで」
などと言い無理やり自分の膝に抱こうとする。
まだ直樹に抱っこされたいらしく聖乃は嫌がった。
「やーあ。パパやーあ」
「女の子の扱い、よく知らないんじゃないの?」
「お。言いやがったなー」
――どんな男でも娘にはかなわないものなのかな。
目を閉じればくっきり緋紗のことを思い出せた。
顔も身体も声も。
「ふぅ」
ため息をついているとドアをノックする音が聞こえた。
「どうぞ」
「おっす。飯だぞ」
兄の颯介が呼びに来た。
「うん。今行くよ」
本棚に置いてある緋紗が作ったペアのグラスに目をやり、そして残りのリストを打ち込んでから机を離れた。
一階へ食事に降りていくと母の慶子と義姉の早苗が天ぷらを並べており、座っている颯介の膝に聖乃がおとなしく座っている。
「なおー。なおー」
聖乃はいつの間にか片言の言葉を話すようになっており表情も豊かだ。
直樹によくなついているようで、見かけると抱きつこうとする。
「きよ。こんばんは」
直樹は聖乃を抱き上げてやって膝にのせた。
颯介はそれが気に入らないので、
「きよちゃん。直樹なんかなんにも面白くないよ。こっちおいで」
などと言い無理やり自分の膝に抱こうとする。
まだ直樹に抱っこされたいらしく聖乃は嫌がった。
「やーあ。パパやーあ」
「女の子の扱い、よく知らないんじゃないの?」
「お。言いやがったなー」
――どんな男でも娘にはかなわないものなのかな。