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スカーレット オーク
第67章 67 旅
くすりと笑っていると早苗がチラシをもってきて直樹に見せる。
「ねえ。これっていつもいくバイト先のペンションでしょ?」
チラシには『子供陶芸教室のご案内』と書いてある。――和夫さん忙しいのにこんなこと始めたのか?
ぼんやり教室内容を眺めた。
「なんかここの教室の先生が評判良いらしくてね。聖乃にも体験させてやりたいのよね。二歳じゃちょっと無理だろうけど」
「和夫さんってそんなに子供ウケいいんだ。いかついオジサンなのに」
「ううん。若い女の先生よ。でも男の子みたいでさっぱりしてて人気があるんだって」
早苗は笑いながら言った。――緋紗?
「名前は?」
「さあ。名前までは知らないけど陶芸の本場からきたみたいよ」
――緋紗だ。
「なんだよ。自分が行ってみたいんじゃないのか?」
「あはは。ばれた?」
慶子が、「冷めないうちに食べましょうよ」と、促し食事が始まった。
慶子はまた直樹が押し黙って考え事をしている様子を少し心配したが、前のような暗さはなくなっていたので見守った。
いつの間にか颯介も直樹も一人前の男のようになってきている。――まだまだだけど。
息子がまた一人巣立っていくかもしれない予感があり嬉しいような寂しいような気持ちになった。
それでも聖乃を見ると新しい喜びを感じて慶子は優しく微笑んでいた。
「ねえ。これっていつもいくバイト先のペンションでしょ?」
チラシには『子供陶芸教室のご案内』と書いてある。――和夫さん忙しいのにこんなこと始めたのか?
ぼんやり教室内容を眺めた。
「なんかここの教室の先生が評判良いらしくてね。聖乃にも体験させてやりたいのよね。二歳じゃちょっと無理だろうけど」
「和夫さんってそんなに子供ウケいいんだ。いかついオジサンなのに」
「ううん。若い女の先生よ。でも男の子みたいでさっぱりしてて人気があるんだって」
早苗は笑いながら言った。――緋紗?
「名前は?」
「さあ。名前までは知らないけど陶芸の本場からきたみたいよ」
――緋紗だ。
「なんだよ。自分が行ってみたいんじゃないのか?」
「あはは。ばれた?」
慶子が、「冷めないうちに食べましょうよ」と、促し食事が始まった。
慶子はまた直樹が押し黙って考え事をしている様子を少し心配したが、前のような暗さはなくなっていたので見守った。
いつの間にか颯介も直樹も一人前の男のようになってきている。――まだまだだけど。
息子がまた一人巣立っていくかもしれない予感があり嬉しいような寂しいような気持ちになった。
それでも聖乃を見ると新しい喜びを感じて慶子は優しく微笑んでいた。