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スカーレット オーク
第7章 7 窯出し
 モチベーションが下がらないうちに急いで食べてまた仕事場へ戻ったがまだ休憩時間が残っていたので今回の作品を物色する。――あ、きれいな緋襷(ひだすき)。

 この窯には緋紗が作ったものも多く入っている。
叩いて柔らかくした藁を二百点ほどのビールグラスに巻いて焼いた。
窯から出しているときは見る余裕などないし場所によっては灰被りでくすんでいるので、後の手入れ時に『良い焼け』などと判断することが多い。

 緋襷のビールグラスを手に取ってみた。
もう、ほんのりあったかい程度だ。

『手首のようだね。』

突然、大友の言葉を思い出してグラスを落としそうになる。――やばかったあ。
冷や汗をかきながら慎重にグラスを戻しているときにお手伝いさんたちがやってきた。

「こんにちはー。お願いしますー」
「緋紗ちゃん、こんにちはー。まだ弟子やってるの。頑張るねえ」
「もうちょっとお世話になるつもりです」

 顔見知りの石川達、四人組の主婦たちはもう勝手がわかっているので窯から出た作品を作業台に運び、各々砥石をかけ紙やすりをかける。
ざらつきがなくなった焼き物を今度は洗い場に運び、洗って水漏れすることがないか検査をする。
こうやってきれいに仕上がった焼き物が『作品』となるのだった。

「今回はまた明るくていい色じゃねえ」

 備前焼にも明るいオレンジ色から黒っぽい渋めの色まで色々ある。
一般的なイメージは渋くて黒いのかもしれないが、松尾の作品は明るい焼けのものが多い。

――ああ山にも違いがあるって言ってたな。

 何気なく大友の言葉を思い出しながら緋紗は再び窯の中に入っていった。
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