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スカーレット オーク
第7章 7 窯出し
炎が直接当たる火前の最初の作品が出てくる。
ゴロゴロとした壷や窯変の花入れが棚板に乗せられた。
「気を付けて運べえよー」
この辺の作品は窯の中でも希少で高価な部類になるので扱いが慎重だ。
「じゃ、あとはおめぇが、じわじわ出してけ。熱いけぇ、ゆっくりでええ」
「はい」
松尾はこれから伊部駅に到着する客の迎えに行くのだった。
常連の目利きの客は窯出しと聞くと、まだ手入れもなされていないのに物色しにやって来る。
残りは緋紗が少しずつ出していった。
窯を開ける前の温度計の表示は百八十度だった。
まだまだ熱波が顔をひりつかせ、素手で触ることなどできない熱さだ。――今回また早く開けたなあ。
窯に入って作品を一枚の板に乗せて出てくるのにおよそ五分。
一分で汗だくだがこれを何度も繰り返す。
窯場がいっぱいになってきたので出すのをしばらく中止して整頓をした。
なんせ何千点もあるので楽ではない。
少し水を飲んでTシャツを着替えた。
午後からはこの窯からでた作品を磨くアルバイトが何人か来る。
備前焼は作ることから焼くこと、仕上げることまで複数の人が係ることが当然だ。
誰が来るか聞いていないが、おそらくいつもの主婦連中と陶芸センターの生徒だろう。
「どんな?」
松尾が様子を見に来た。
「三分の一は出せました」
「おう。じゃ飯にせられぇ」
「お昼帰ってきていいですか?着替え、もう少しほしいんで」
「好きにせい」
「はーい」
緋紗はあと一枚の着替えではちょっと心もとないので動きたくなかったが帰ることにした。
自転車で五分のところにアパートを借りているのでさほど億劫でもないのだが。
着替えをもう二枚トートバッグに詰めてから、持ち帰ることになった弁当を食べる。――帰ると疲労感が増すよなあ。
ゴロゴロとした壷や窯変の花入れが棚板に乗せられた。
「気を付けて運べえよー」
この辺の作品は窯の中でも希少で高価な部類になるので扱いが慎重だ。
「じゃ、あとはおめぇが、じわじわ出してけ。熱いけぇ、ゆっくりでええ」
「はい」
松尾はこれから伊部駅に到着する客の迎えに行くのだった。
常連の目利きの客は窯出しと聞くと、まだ手入れもなされていないのに物色しにやって来る。
残りは緋紗が少しずつ出していった。
窯を開ける前の温度計の表示は百八十度だった。
まだまだ熱波が顔をひりつかせ、素手で触ることなどできない熱さだ。――今回また早く開けたなあ。
窯に入って作品を一枚の板に乗せて出てくるのにおよそ五分。
一分で汗だくだがこれを何度も繰り返す。
窯場がいっぱいになってきたので出すのをしばらく中止して整頓をした。
なんせ何千点もあるので楽ではない。
少し水を飲んでTシャツを着替えた。
午後からはこの窯からでた作品を磨くアルバイトが何人か来る。
備前焼は作ることから焼くこと、仕上げることまで複数の人が係ることが当然だ。
誰が来るか聞いていないが、おそらくいつもの主婦連中と陶芸センターの生徒だろう。
「どんな?」
松尾が様子を見に来た。
「三分の一は出せました」
「おう。じゃ飯にせられぇ」
「お昼帰ってきていいですか?着替え、もう少しほしいんで」
「好きにせい」
「はーい」
緋紗はあと一枚の着替えではちょっと心もとないので動きたくなかったが帰ることにした。
自転車で五分のところにアパートを借りているのでさほど億劫でもないのだが。
着替えをもう二枚トートバッグに詰めてから、持ち帰ることになった弁当を食べる。――帰ると疲労感が増すよなあ。