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スカーレット オーク
第17章 17 ペンション『セレナーデ』

「着いたよ」
富士山のふもとの高原だ。
標高が少し高いのか風がひんやりする。
「寒い?」
「大丈夫です。上着持ってますから」
岡山も静岡も暖かいし新幹線や駅は人ごみで暑かったくらいなので緋紗は少し薄着だった。
もう少し涼しい風に当たっていたい気もしたが初日から体調を崩すといけないと思いなおし、バッグからパーカーを出して羽織った。
そこへオーナーの吉田和夫と妻の小夜子がやってくる。
「ただいま」
直樹が声をかけた。
「おかえり」
二人そろって直樹に返した。
和夫は小柄だががっちりしていかつく、小夜子は女性にしては大柄で華やかな雰囲気のある美人だ。
「オーナーの吉田和夫さんと奥さんの小夜子さんだよ」
二人の印象的な容貌と迫力に少したじろいだ緋紗だったがとても優しい笑顔で、「よくきてくれたわね」 と、小夜子に言われ頑なにならずにすんだ。
和夫も「よろしくね」と、いかつい顔からは想像できないくらいの気さくさで話しかけてきた。――よかった。怖くなさそう。
「初めまして。宮下緋紗です。よろしくお願いします」
緊張したがとにかく名前を言って挨拶する。
「ひさちゃんね。よろしく」
そう言ってすぐ二人は直樹に向かって、「彼女連れてきたの?」「野郎じゃないのか」と、興味津々そうに話しかける。
「男なんて言ってませんよ」
しれっという直樹に二人は顔を見合わせて『まあ!』というような顔をした。
富士山のふもとの高原だ。
標高が少し高いのか風がひんやりする。
「寒い?」
「大丈夫です。上着持ってますから」
岡山も静岡も暖かいし新幹線や駅は人ごみで暑かったくらいなので緋紗は少し薄着だった。
もう少し涼しい風に当たっていたい気もしたが初日から体調を崩すといけないと思いなおし、バッグからパーカーを出して羽織った。
そこへオーナーの吉田和夫と妻の小夜子がやってくる。
「ただいま」
直樹が声をかけた。
「おかえり」
二人そろって直樹に返した。
和夫は小柄だががっちりしていかつく、小夜子は女性にしては大柄で華やかな雰囲気のある美人だ。
「オーナーの吉田和夫さんと奥さんの小夜子さんだよ」
二人の印象的な容貌と迫力に少したじろいだ緋紗だったがとても優しい笑顔で、「よくきてくれたわね」 と、小夜子に言われ頑なにならずにすんだ。
和夫も「よろしくね」と、いかつい顔からは想像できないくらいの気さくさで話しかけてきた。――よかった。怖くなさそう。
「初めまして。宮下緋紗です。よろしくお願いします」
緊張したがとにかく名前を言って挨拶する。
「ひさちゃんね。よろしく」
そう言ってすぐ二人は直樹に向かって、「彼女連れてきたの?」「野郎じゃないのか」と、興味津々そうに話しかける。
「男なんて言ってませんよ」
しれっという直樹に二人は顔を見合わせて『まあ!』というような顔をした。

