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スカーレット オーク
第18章 18 厨房
 厨房へ戻ると小夜子がメニューをメモしている。

「戻りました。今日は何をします?」
「今夜のバイキングメニューはサラダバー、煮込みハンバーグ、ボルシチ、鹿カレー、ピザ、冷製パスタ、山菜おこわ、ジェラートね。直君は和夫とハンバーグ担当して、ひさちゃんは私と野菜の用意ね」
「わかりました。ひさ、エプロン貸すからこっちにおいで」
「はい」

 緋紗は直樹から割烹着のようなエプロンを受け取り身に着けた。

「じゃ小夜子さんについて頑張って」

 直樹は優しく言い冷蔵庫のほうへ向かった。

「ひさちゃん、こっち来て」

 小夜子に呼ばれて緋紗は外へ出、さっきの菜園へ向かう。

「ここの大根と水菜を使うわね。大根を三本くらい抜いてもらっていい?」
「はい」

 小さなスコップを渡されて緋紗は少し土を掘ってすぐ抜いた。

「すごーい。抜くの上手ねえ」

 大根を抜いただけで大喜びしてくれる小夜子に照れながら、「え、いやー」と続けて二本抜いた。

 小夜子は水菜をボールにいっぱい摘んでから、興味津々な様子で尋ねる。

「ねえねえ。直君いつもあんななの?」
――あんなってどんなだろう。 

「あんなに優しそうなの初めて見たわよ~」
「え、そうなんですか?私はいつも優しいとばっかり……」
「へ~。いつも素っ気ない感じなのにねえ。ううん。悪い子じゃないのよ?なんていうか冷めてるというかねえー」
「ああ。草食男子ってやつですよね」
「そうそう。なんか男らしくないというか」

 男らしくないという言葉に反応して直樹の身体を思い出していた。

「でも彼女ができると違ってくるものね」

 小夜子は緋紗ににっこり笑いかける。
そして、「今夜が楽しみ~」と、ニヤッとして言った。
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