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スカーレット オーク
第19章 19 ディナー
 次々にやってきた予約客により賑やかになってくる。
入浴したり、土産物をみたり、あちこちで賑わっていたがそろそろディナータイムだ。
小夜子が、「じゃ直君、そろそろお願いね。部屋の前に掛けてあるから」 と、言うと直樹は「わかりました」と、よく手を洗って厨房を出て行った。

「なにがあるんですか?」

 緋紗が小夜子に訊ねたが、「待ってて。お楽しみ」と、言われるだけだった。

「もうその辺にかけて私たちも食事にしましょうよ」

 食堂に客が揃ったところで和夫が料理の説明をしていた。

「ごゆっくりどうぞ」

 挨拶を終えると料理を選ぶ客たちでたちまち賑やかになる。
最初の料理を取る第一波が終わるころピアノの演奏が流れてきた。ショパンのノクターンだ。――あれ?小夜子さんいるのになあ。

 新鮮な水菜を食べながら不思議そうにしていると小夜子が指をさし、覗くように合図した。
食堂を覗くと直樹がタキシードを着てピアノを弾いている。

 少しだけライトアップされて直樹が浮かび上がっている。
ジェルで少し髪を撫でつけているようでいつもより硬質なフォーマル感が出ている。
見惚れていると和夫が入ってきて、「あいつ何でもできて嫌味な奴だよなあ」と、笑って言った。
緋紗がぽかんとしているのを見て小夜子が「ピアノ聴くの初めて?なかなかうまいのよ。しかも今日は情感こもってていいじゃない。いつも渋々だけどね」と、説明した。
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