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第1章 黒煙のレクイエム

「こずえ…こずえが山尾の家でどんなイヤなことがあったのかは分からないけど、家は今厳しい状況下に置かれているのよ…」
「厳しい状況下に置かれているから家から出て行けと言いたいのかしら!!あんまりだわ!!」

こずえは、ものすごく真っ赤な目をして母親に言うた。

母親は、なおもイヤそうな表情を浮かべてこずえにこう言うた。

「こずえ、おかーさんはいじわるで言うているわけじゃないのよ…おじいちゃんが家の中で転倒をしたことが原因で寝たきりになっているのよ…おじいちゃんは病院イヤじゃ病院イヤじゃ…おうちに帰りたいと言うたので急に家に帰ってきたのよ…お兄さんは40代になって初婚だから…」
「だからアタシに出て行けと言いたいわけなのね!!アタシはいらない娘だと言いたいのね!!」
「こずえ…かあさんはこずえに悪いことをしたと思っているわよぉ…」

こずえは、母親に対して『アタシをないがしろにしておいてふざけているわ!!』と怒った。

母親は『山尾の家に帰ってほしい…』と泣きそうな声で言うてからこう言うた。