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第1章 黒煙のレクイエム

「アタシが面接を受けに行った時に店長からトートツに雇い入れ通知書を渡されたのよ…アタシが履歴書を出す前に、店長が『履歴書はいーからいーから』と言うて、アタシが働く意欲があると決めつけたのよ…いきなり雇い入れ通知書を出された!!アタシは雇い入れ通知書を受け取った後、書面の内容を読みたいと言うたのよ…それなのに店長は『書面は読まなくてもいいからサインしてくれ…』と言うたのよ!!」
「それじゃあ、雇い入れ通知書の内容を読まずにサインをしてしまったのね。」
「だって…店長は『はよしてくれはよしてくれ!!』とせかすだけで、アタシの言い分をさえぎったのよ!!」
「ガソリンスタンドの店長は、なんでそんなむちゃぶりをしたのかなぁ？」
「店長は『人手が足りん人手が足りん…』とわめいていた…１人でも多くの人手を確保したいからはよしてくれと言うた…けれど、アタシは書面を読まずにサインはできんと言うたのよ!!…そしたら店長はものすごく煮え切らない表情をして『待遇面は十分整っているからはよしてくれ。』とアタシに言うたのよ!!『書面読みたい!!』『はよしてくれ!!』…押し合いへし合いがつづいた…だけど…そのあとに事務所に数人のヤクザの男が押しかけてきたのよ!!」
「……それで……あんたは……」
「無理やり…サインをさせられた…」
「無理やり雇い入れ通知書にサインをさせられたのね。」
「そういうこと…」
「サイアクじゃんそれって…それだったらやめた方がいいわよ!!」
「もちろんそのつもりよ…だけど…過去にガソリンスタンドをやめたコが…ストーカーの被害を受けていたという話を聞いたのよ…ストーカーの男は…店長だったのよ…」
「店長がストーカーの加害者!?」
「そうよ!!」
「サイアクじゃん!!」
「店長の父親が北九州の極悪非道のヤクザのナンバーツーの男なのよ!!ほんで、店長の弟がヤクザ組織の顧問弁護士なのよ!!」
「ますますサイアクじゃん!!」
「アタシ!!ものすごく怒っているのよ!!」

そんな時であった。

こずえのアローズ(スマホ)のライン通話アプリの着信音が鳴っていたので、こずえはチッと舌打ちしながら電話に出た。

電話は、ガソリンスタンドの店長からであった。