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第1章 黒煙のレクイエム

涼太は、プロ野球選手になる夢がついえたので路頭に迷っていた。

そんな時に、父親から『おとーさんが全部悪かった…もう解放してやるから古河へ帰って来い…』という電話があったので、古河市へＵターンすることにした。

プロ野球選手になることをあきらめた涼太は、野球と大学をやめて、古河市の中央郵便局で契約社員として就職した。

毎日家庭と郵便局だけを往復することだけの暮らしだから、涼太はねくらな表情を浮かべていた。

涼太は、毎日郵便局へ出勤する前と帰る時に父親がいる職場へ送り迎えをしていた。

７年間、同じことばかりの繰り返しが続いていたので、気持ちがイヤになっていた。

なので、気に入らないことがあれば父親に八つ当たりをしていた。

それに加えて、母親違いの妹・御桜里(みおり・21歳)の大学卒業後の就職のことで深刻な問題を抱えていた。

御桜里は、周囲の学生たちが次々と内定をもらっている中で、ひどく気が立っていた。

周囲の学生たちは、シューカツをして内定をもらっている。

なのに、御桜里はこずえから『義姉(おねーさん)が就職の情報をもらってくるから待っていてね。』と言われたので、待たされていた。

いつになったら、就職の情報がもらえるのか…

いつになったら、アタシは就職できるのか…

御桜里のいらだちは日増しに高まっていた。

こずえははるひこから『御桜里が就職するのに必要な情報はまだなのか!!』とせかされていた。

こずえは、そのたびに『もうすぐ会社の情報が手に入るから…』と言うて、はるひこにウソをついていた。

しかし、この最近になってはるひこのいらだちがより大きくなっていたので、こずえはひどくいらだっていた。

このままだと、御桜里ちゃんはシューカツ浪人で卒業となってしまう…

どうしよう…

こずえは、知人にお願いして御桜里の就職に関する情報を取り寄せて、御桜里に提供しなければと思っていた。

しかし、ここへ来て大誤算が生じていたので、大パニックにおちいった。