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独占欲に捕らわれて*Regret
第5章 平穏へ
「FXや株で稼ぐのはいいが、人に会うことがないからな。本当にありがたい」
「そう言っていただけると嬉しいです。これが会社の住所です。今は社内を整えている最中ですがね」
斗真が名刺を晶久に手渡すと、受け取った本人は困ったような顔をして、紅玲は嬉しそうな顔をする。鈴宮親子以外の人間は、不思議そうにそんなふたりを見る。
「今住んでるウィークリーマンションからは遠いな……。新しい住居を見つけておくか」
「その必要はないよ」
「どういうことだ?」
晶久は怪訝そうに紅玲を見る。紅玲は手帳型のスマホケースから1枚の紙を出して広げると、晶久に手渡した。それは戸建住宅の間取りで、下に書かれている住所は斗真の会社の近くだ。
「これは……」
「父さんの新しい家だよ」
「は?」
紅玲以外の声が綺麗に揃った。
「だって、いつまでもウィークリーマンションに住ませるわけにはいかないし。父さんだってマンションより戸建てのほうがいいでしょ? これくらいの親孝行はしとかないとねぇ。あ、そうそう。バリアフリー設計だから割と住みやすいはずだよ」
あまりにも規模が大きい親孝行に、その場にいる者達の空いた口が塞がらない。
「お前……」
「あっはは、驚いてくれたみたいでよかった。ま、まだ建設中だけどね」
「あなたってとんでもないことをさらっとやってのけるわよね」
「マイペースというかなんというか……」
「突拍子すぎ……」
「まぁまぁ。いいでしょ。悪いことしてるわけじゃないんだからさ。いい話がまとまったことだし、今夜は皆で美味しいもの食べに行こっか」
紅玲の言葉に困ったように笑いながらも、彼らは頷いた。
「とりあえず今は紅茶で乾杯しよっか」
紅玲がティーカップを掲げると、それぞれ未来を思い描きながら、ティーカップをぶつけあった。
「そう言っていただけると嬉しいです。これが会社の住所です。今は社内を整えている最中ですがね」
斗真が名刺を晶久に手渡すと、受け取った本人は困ったような顔をして、紅玲は嬉しそうな顔をする。鈴宮親子以外の人間は、不思議そうにそんなふたりを見る。
「今住んでるウィークリーマンションからは遠いな……。新しい住居を見つけておくか」
「その必要はないよ」
「どういうことだ?」
晶久は怪訝そうに紅玲を見る。紅玲は手帳型のスマホケースから1枚の紙を出して広げると、晶久に手渡した。それは戸建住宅の間取りで、下に書かれている住所は斗真の会社の近くだ。
「これは……」
「父さんの新しい家だよ」
「は?」
紅玲以外の声が綺麗に揃った。
「だって、いつまでもウィークリーマンションに住ませるわけにはいかないし。父さんだってマンションより戸建てのほうがいいでしょ? これくらいの親孝行はしとかないとねぇ。あ、そうそう。バリアフリー設計だから割と住みやすいはずだよ」
あまりにも規模が大きい親孝行に、その場にいる者達の空いた口が塞がらない。
「お前……」
「あっはは、驚いてくれたみたいでよかった。ま、まだ建設中だけどね」
「あなたってとんでもないことをさらっとやってのけるわよね」
「マイペースというかなんというか……」
「突拍子すぎ……」
「まぁまぁ。いいでしょ。悪いことしてるわけじゃないんだからさ。いい話がまとまったことだし、今夜は皆で美味しいもの食べに行こっか」
紅玲の言葉に困ったように笑いながらも、彼らは頷いた。
「とりあえず今は紅茶で乾杯しよっか」
紅玲がティーカップを掲げると、それぞれ未来を思い描きながら、ティーカップをぶつけあった。