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独占欲に捕らわれて*Regret
第1章 悪夢の出世街道
小学生の彼が全ての家事をこなしながら株で儲け、さらに小学生としての本分である勉強もしっかりこなすなど無理のある話で、ついに高熱で倒れた。
晶久はさすがに無理をさせすぎたと反省はするものの、紅玲を看病することはない。再び家政夫を雇い、ある程度の家事は家政夫にも手伝わせるが、結局紅玲に無理強いさせているのは変わらなかった。

紅玲が中学生になると、晶久は副社長にまで出世した。今日は珍しく息子について考えた。中学校は強制的に部活をやらされる。完全な偏見だが、サッカー部のようなおちゃらけた部活や、室内活動がメインの大して厳しくなさそうな部活に紅玲を入れるつもりはない。
「野球部に入れて坊主にさせるのもいいかもしれない」
そう呟き、意地の悪い笑みを浮かべる。紅玲の顔立ちは今のところ中性的で、どうしてもルカの面影が色濃くでてしまう。サラリとした髪を、耳が隠れるほどに伸ばしているので、余計に彼女を思い出してしまう。何度かもっと切ってもらうように言ったが、紅玲には紅玲のこだわりがあるらしく、短く切りそろえられるようなことはなかった。

「父さん、部活のことなんだけど……」
数日後、紅玲は晶久の様子を伺うように声をかける。
「何にするんだ?」
「その、剣道部に入りたいんだけど、いいかな? 竹刀とか胴着とか、全部自分で買い揃えるからさ」
(まさか自分から厳しい部活に入ろうとするとはな……)
これには晶久も驚いた。紅玲が通っている中学校は剣道強豪校で、入学式でもその話を校長先生がしていた。それに晶久も、野球部か剣道部のどちらかに入れようと思っていたところだ。

「剣道部なら入ってもいい。ただし、やめるなよ」
「はい!」
紅玲は嬉しそうに返事をすると、スマホで誰かに電話をしながらリビングから出ていく。ちなみにスマホ代も、紅玲が自分で稼いでいる。

晶久が珈琲を淹れようと立ち上がると、スマホが震えた。
「なんだ?」
画面を見ると速報が入っており、晶久が住んでいる街で小中学生を狙った不審者が出ているとのことだ。記事によれば女学生よりも男子学生の被害が多いらしい。
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