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わたしは桜になりたい
第1章 わたしは桜になりたい
「いっせいに芽吹くのは、ひとつの種から増殖したクローンだからだ」
「工場で生まれた、大量生産品ってとこか」
「……ほらな、どうよ?」
「お前は知ってたのかよ。馬鹿女」
「お前は本当に、ありのままで立ってるだけの桜が、無条件に受け入れられたと信じてたのか?」
「そんなわけあるかよ」
「そんなわけあるかよ」
「そんなわけ、…あるかよ」
.....
幻想
……わたしがなりたかった桜は、ただの幻想
ズルいなんて言ってしまった桜は
羨ましいなんて思ってしまった桜は
わたしよりもずっと、苦しそうだった