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第5章 おじいさんの昔話

嫌な予感がしたから、その場を離れ、サイレンの方向に行ってみた。
幹線道路の交差点に人集りが出来ていて、止まっていた大型トラックと、大破している見覚えのあるバイクが見えたんだ。
まさかと思い、急いで人垣をかき分け近寄ってみると、血溜まりが出来ていて、そこにストレッチャーに乗せられた彼女がいたんだ。
大声で彼女の名前を呼んださ。
救急隊員に知り合いかと聞かれたから、とっさに「婚約者です」と答えたよ。
その時、一瞬彼女が俺の方に向かって微笑んだ気がしたんだ。